認定看護師
認定看護師とは、特定の分野における看護のスペシャリストとして認定を受けた看護師のことです。現在、全国ではおよそ1万2000人ほどの認定看護師が活躍しています。特定の看護に関して高い技能や知識を持つことが認められた認定看護師は医療現場において高水準なケアが提供できるスタッフとして期待されています。
現時点では、認定看護師の専門は以下の21の分野に別れていて、それぞれの項目と概要は以下の通りです。
・救急看護 – 救急救命および、その患者や家族へのケア
・皮膚、排泄ケア – 褥瘡や人工肛門、失禁といった排泄の問題の管理
・集中ケア – 症状が激しく、重篤な患者への看護
・緩和ケア – 末期患者の痛みの緩和と患者、家族への精神的支援
・がん化学療法看護 – がん化学療法時の投薬や副作用の管理
・がん性疼痛看護 – がんによる痛みを緩和する投薬と患者へのケア
・訪問看護 – 在宅で療養する患者に対するセルフケアの指導や支援
・感染管理 – 院内感染の予防や管理
・糖尿病看護 – 糖尿病患者への生活支援や健康管理
・不妊症看護 – 不妊症の患者とそのパートナーへの支援
・新生児集中ケア – 重い病気を持った新生児の専門的ケア
・透析看護 – 透析患者への生活支援と適切な透析治療の実施
・手術看護 – 手術中の安全管理と術前から術後に渡るケア
・乳がん看護 – 乳がん患者への看護と精神的支援
・摂食・嚥下障害看護 – 誤嚥性肺炎の予防や嚥下訓練
・小児救急看護 – 小児救急と児童虐待などへの対応
・認知症看護 – 認知症患者への看護と家族への支援
・脳卒中リハビリテーション看護 – 脳卒中患者のリハビリ、機能回復支援
・がん放射線療法看護 – 放射線治療による副作用の軽減や管理
・慢性呼吸器疾患看護 – 状態に応じた呼吸管理やリハビリ支援
・慢性心不全看護 – 心不全各期に対応した生活支援
また、認定看護師が果たすべき役割は次の三つがあげられます。
1.実践 – 患者とその家族に対して、習得した高水準の看護技術の提供
2.指導 – 他の看護職に対する実践指導
3.相談 – 現場の看護師へのアドバイスやコンサルテーション
このように、認定看護師には各分野においての高い看護技術だけでなく、他の看護師への指導やコンサルテーションも求められます。そのため、自分が携わる分野に精通するだけでなく、看護現場全体がレベルアップするための牽引役としても機能しなければなりません。
認定看護師になるには、まず5年以上の実務経験が必要ですが、そのうち3年は特定分野での経験がなくてはなりません。その上で日本看護協会や看護系大学が開講している専門課程を修了します。そして認定審査に合格することで初めて認定看護師となることができます。認定看護師の認定は5年ごとの更新制で、それまでの実績を元に更新審査を受けることになっています。
ただ、認定看護師になったからといって必ずしも手当てや昇給があるわけではありません。認定看護師を目指す理由は様々ですが、自分の携わっている看護分野を突き詰めたい、より高い知識や技能を習得して患者さんをもっと助けたいと思っている人が多いようです。しかし、病院としても認定看護師には優れた看護の実践者という認識があり、認定看護師の存在はその病院が高水準のケアが行える証でもあるので期待されていることは間違いありません。